新NISAの2階部分「過去6ケ月以内に1階部分に買付あり」の条件

NISA・つみたてNISA
NISA・つみたてNISA
記事内に広告が含まれています。

こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。

 

新NISAの2階部分の利用には「過去6ケ月以内に1階部分に買付あり」という条件があるので紹介します。

 

そーたろー
そーたろー

ここはどんなブログなの?

  • お金、投資、資産運用、副業が中心のブログです。

 

そーたろー

この記事を書いたそーたろーはこんな人です。

  • 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
  • 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。

 

そーたろー

この記事は次のような人にオススメです

  • 新NISAの利用予定がある人

 

スポンサーリンク

この記事の目的

2024年開始予定である新NISAは投資枠が1階と2階の2つに分かれていて、2階部分を利用するには「過去6ケ月以内に1階部分に買付あり」という条件があります。

私はこの条件について認識しておらず、どのようなものか調べたので紹介します。

 

新NISAとは?

現行のNISA制度は2023年で一旦終了することになっていて、2024年からは新NISAとしてマイナーチェンジが予定されています。

令和2年度税制改正について – 金融庁

つみたてNISAの方は期間が伸びる程度ですが、一般NISAの方はつみたて投資を強制するシステムが新たに追加されたため、投資枠が1階(つみたて投資用)と2階(上場株式、投資信託用)という2段構成に変更されます。

で、この2階部分を使うには1階部分の利用方法について細かい条件があるらしいことがわかった、というのがこの記事のテーマです。

 

2階部分の利用条件とは?

先日、2021年9月に日本証券業協会から出された「令和4年度税制改正に関する要望」を見ていたら、新NISAの2階部分を利用するためには「過去6ケ月以内に1階部分に買付あり」という条件があることを見つけました。

令和4年度税制改正に関する要望【要望項目説明資料(2021年9月)】 | 日本証券業協会

私はこうしたルールが追加されることをまったく知らず、疑問に思い調べてみると以下のようなルールが存在することがわかりました。

  • 2階を利用するためには、1階で積立投資を行う必要がある
  • 1階での積立投資の要件
    • 過去6か月以内に1階での投資実績があること
    • かつその年分の特定累積投資勘定において特定累積投資上場株式等を受け入れていること

日本証券業協会の説明資料によれば、例として2025年の新NISA2階部分を使おうと思ったら、買付の6ヶ月以内、かつ当該年である2025年に1階部分の買付がなければならないことになっており、この条件が利用者の利便性や金融機関の実務に影響が出るので緩和もしくは撤廃を求めるというものでした。

この条件は難解で不便なので日本証券業協会の要望は妥当だと思います。

 

新NISAの金融庁の狙い

新NISA2階部分の利用条件について調べていたところ金融庁から以下のような資料が出されているのを見つけました。

新しいNISA制度の概要と改正の狙い | 金融庁

そもそもなぜ新NISAを2階建てにしたかについて以下のような記述があります。

現行の一般NISAは、家計の安定的な資産形成の支援に加え、成長資金の供給拡大を目的に設けられた。新NISAについては、一般NISAが担っている成長資金の供給拡大を促しつつ、あわせて少額からの長期・積立・分散投資を行える制度に改組するものだ。

そのため、1階部分(年間 20 万円)は、家計の安定的な資産形成をさらに促進するため、より多くの方々に長期・積立・分散投資を始めるきっかけとしてもらう観点から、つみたてNISAと同様の制度とした。

また、2階部分(年間 102 万円)は、原則として1階部分で積立投資を行った者が使えるものとして、成長資金の供給拡大の観点から、現行の一般NISAに比べて投資対象を一部見直したうえで、上場株式を含む幅広い商品に投資可能な制度とすることとした。1階部分の積立投資を開始すると同時に、2階部分の投資を行うことも可能である。

つまり金融庁としては何が何でも長期・積立・分散投資を始めるきっかけとしてもらうことが最優先であるということが伺えます。

すでにNISAを利用している立場からすると完全に余計なお世話ですが、ターゲットはこれから投資を始める人、これから老後資金を作る人ということのようです。

 

どの程度影響があるのか?

今回確認した情報によれば、私には特に影響はないことがわかりました。

2階部分の利用条件としては確かに1階部分の利用があるのですが、先ほどの金融中の資料によれば1階部分でつみたて投資していれば自動的に要件はクリアでき、またつみたて投資していない場合でも2階部分の投資を行う時点で1階部分の積立投資を開始すればクリアできることになっているようです。

── 1階部分を使いきらないと、2階部分への投資をすることができないのか
2階部分を利用するために、1階部分の 20 万円をすべて使いきる必要はない。1階部分の一部を利用してもらえれば2階部分の利用が可能となっている。ただし、1階部分を使いきっていなかったとしても、2階部分の限度額は年間 102 万円となる。また、1階部分の積立投資を開始すると同時に、2階部分の投資を行うことも可能である。

私の使い方としては、各勘定が始まったら可能な限り早い段階で(1月中)に上限枠122万円を使い切るという方針なのですが、最後の一文「1階部分の積立投資を開始すると同時に、2階部分の投資を行うことも可能である」より2階部分の利用時に1階部分の利用も開始すれば要件をクリアできるらしいと理解しました。

つみたてNISAから一般NISAへ区分変更したよ【出口戦略】
私は2020年までつみたてNISAを利用していましたが、区分変更して2021年は一般NISAを利用することにしたので紹介します。 NISA制度の使い方のヒントを得たい人 リタイアに向けたインデックス投資の出口戦略に関心がある人 この記事の目...

 

新NISAに対する個人的な感想など

金融庁としては「NISA制度を何が何でも長期・分散・積立投資に使わせたい」という方針が見て取れ、ある程度投資経験がある長期投資家からすれば不便な仕組みに改悪されます。

いろいろな要望があり、万人が納得する制度を作るのは大変なことだと思いますが、DXが叫ばれる流れの中で難解な制度に改正するのは時代に逆行している印象です。

経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」によれば、DXは以下のように定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

DXというのは単なるIT化でもデジタル化でもなく、ITやデジタルを活用して仕事を合理化することが目的のはずです。

業務そのものやプロセスを変革して競争上の優位性を確立するために物事をよりわかりやすく改善するべきなのに、新NSAでは何が何でも長期・分散・積立投資に使わせたいがために運用を複雑化して使い勝手を悪くしている印象です。

この経産省の資料では「企業が」となっていますが、行政のやることがDXと無縁な非効率な仕組みでよいはずもありません。

金融庁としてはつみたて投資の普及こそが最優先ということでそれ以外のことは二の次三の次なのかもしれません。

つみたて投資を普及させたいのなら以前のまま運用期間を伸ばすなどの制度の延命だけして、もっと地道なキャンペーンを我慢強くやるべきではないかと個人的には思います。

金融庁が啓蒙したいのは老後資金などの自助努力のための長期投資なのに、無理くりヘンテコな制度を生み出して事を急いだ結果、「帯に短し襷(たすき)に長し」になった感があります。

こうした背景としてあと20年くらいで氷河期世代が年金生活に突入することを考えれば、それだけデッドラインが迫っているということなのかもしれません。

私の感覚では運用期間が短いなら悠長につみたて投資するより一括投資で前倒しさせる選択肢が強調されてもよさそうなものですが、つみたて投資を押してくるあたり真のターゲットはもっと若い世代になっていて、おまけで氷河期世代の救済もくっつけた苦肉の折衷案のように見えます。

NISA制度の趣旨が自助努力に基づく資産形成の支援・促進で、長期・分散投資の思想がベースになっており、そもそも既存投資家が儲けるためのツールではないことを考えれば文句を言っても仕方ないのかなと思います。

制度が使えるだけもありがたいので、マイナーチェンジはチェックしつつ対応していきたいですね。

 

スポンサーリンク

まとめ

新NISAの2階部分の利用条件を紹介しました。

  • 2階を利用するためには、1階で積立投資を行う必要がある
  • 1階での積立投資の要件
    • 過去6か月以内に1階での投資実績があること
    • かつその年分の特定累積投資勘定において特定累積投資上場株式等を受け入れていること

現時点では2024年開始予定ということでもう少し先の話ですが、新NISAを利用する予定の人は頭の片隅に置いて経過を見守った方がよさそうです。