こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。
ここはどんなブログなの?
- お金、投資、資産運用、副業が中心のブログです。
この記事を書いたそーたろーはこんな人です。
- 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
- 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。
この記事は次のような人にオススメです
- サクソバンク証券で外国株式オプション取引をする人
この記事の目的
サクソバンク証券の外国株式オプションで得たオプションプレミアムが申告分離課税である理由を紹介します。
オプション取引の譲渡所得、配当所得にかかる税金については以下の記事もどうぞ。
なお私は税務についての相談には応じかねますので、お取引をお考えの方はご自身で税務署または税理士などの専門家、もしくは証券会社へご確認くださいますようお願いいたします。
サクソバンク証券の外国株式オプションは申告分離課税
結論から言うと、サクソバンク証券の外国株式オプションは申告分離課税です。
サクソバンク証券では以下のように説明しています。
個人のお客様の場合、外国株式オプション取引に係る差金等決済から生じた利益は、他の所得と分離して、事業所得又は雑所得として課税されます。
「他の所得と分離して」、つまり申告分離課税であるとしており、私の所轄の税務署の見解も申告分離課税でOKとのことで理由は以下のとおりです。
私は2020年分は申告分離課税で申告済みで、2021年分についても同じく申告分離課税で申告する予定です。
デリバティブ取引の種類と雑所得
オプション取引は金融商品取引法で定めるデリバティブ取引に該当し、金融商品取引法によればデリバティブ取引は以下の3つに分類されます。
サクソバンク証券の外国株式オプションは外国の市場で取引されるので外国市場デリバティブ取引と思いきや、税金の払い方を決めるための法律上の解釈では市場デリバティブ取引とのことです。
IB証券などの海外籍の証券会社における外国株式オプションは外国市場デリバティブ取引であり、課税の解釈も外国市場デリバティブ取引として扱います。
この違いが非常にわかりにくく混乱するところですので以降で説明します。
雑所得における総合課税と申告分離課税
オプション取引で得たオプションプレミアムは、所得の区分としては雑所得として課税され、雑所得の課税方法は以下の2通りあります。
雑所得は基本的に前者の総合課税であり、一部の特例に該当する場合のみ後者の申告分離課税が適用されます。
雑所得と特例の定義は以下の国税庁の情報のとおりです。
No.1522 先物取引に係る雑所得等の課税の特例 | 国税庁
総合課税では所得の合計額に応じて税率が上がる累進課税となりますが、申告分離課税に該当すれば一律20%で済みます。
したがってサクソバンク証券の外国株式オプションが総合課税なのか申告分離課税なのかは、特に所得が大きい人にとっては重要な論点です。
外国市場デリバティブ取引は総合課税
IB証券など海外籍の証券会社が取り扱う外国株式オプションは総合課税です。
これは金融商品取引法では外国市場デリバティブ取引に該当し、雑所得の特例であるNo.1522に該当しないためです。
No.1522によれば先物取引に係る雑所得等の課税の特例の適用対象となる先物取引の差金等決済の範囲は次のとおりです。
(1) 商品先物取引の決済(その商品先物取引による商品の受渡しが行われることとなるものを除きます。)
(2) 金融商品先物取引等の決済(その金融商品先物取引等による金融商品の受渡しが行われることとなるものを除きます。)
(3) カバードワラントの差金等決済
オプション取引は「(2) 金融商品先物取引等」に該当しますが、金融商品先物取引等が以下のように定義されており、外国市場デリバティブ取引は該当しません。
金融商品先物取引等とは、次に該当する取引をいいます。
イ 金融商品取引法に規定する市場デリバティブ取引のうち一定のもの(金融商品市場において、金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う次の取引)1 平成16年1月1日以後に行う、平成18年改正前の証券取引法に定められている有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引
2 平成17年7月1日以後に行う、廃止前の金融先物取引法に定められている取引所金融先物取引(いわゆる通貨等先物取引、金利等先物取引、金融オプション取引)
3 平成19年9月30日以後に行う、金融商品取引法第2条第21項第1号から第3号までに定められている取引ロ 平成24年1月1日以後に行う、金融商品取引法第2条第22項に定められている店頭デリバティブ取引で同項第1号から第4号までに掲げる取引のうち一定のもの(金融商品市場及び外国金融商品市場によらないで行われる、いわゆる先渡取引、指標先渡取引、オプション取引、指標オプション取引)
(注) 平成28年10月1日以後に金融商品取引業者(第一種金融商品取引業を行う者に限ります。)又は登録金融機関以外と行う店頭デリバティブ取引を除きます。
従来から私が疑問だった、サクソバンク証券の外国株式オプションは外国市場デリバティブ取引なのだから総合課税なのではないか、という点は、このNo.1522をそのまま受け取ればそのとおりなのですが、ここに書かれていない解釈が存在していたというのが次の説明です。
サクソバンク証券の外国株式オプションは市場デリバティブ
サクソバンク証券によれば、サクソバンク証券の外国株式オプションは先のNo.1522の以下に該当するとのことです。
(2) 金融商品先物取引等の決済(その金融商品先物取引等による金融商品の受渡しが行われることとなるものを除きます。)
金融商品先物取引等とは、次に該当する取引をいいます。
イ 金融商品取引法に規定する市場デリバティブ取引のうち一定のもの(金融商品市場において、金融商品市場を開設する者の定める基準及び方法に従い行う次の取引)1 平成16年1月1日以後に行う、平成18年改正前の証券取引法に定められている有価証券先物取引、有価証券指数等先物取引及び有価証券オプション取引
この点について私の所轄の税務署の見解としては、海外籍の証券会社で取り扱われるデリバティブ取引なら外国市場デリバティブ取引だが、国内籍の証券会社で取り扱われるデリバティブ取引なら例えそれが外国市場で取引されるものであっても市場デリバティブとなり得、その解釈はNo.1522には明記されていないとのことでした。
サクソバンク証券の外国株式オプションが申告分離課税であるというサービスローンチ時から公開されていた情報は、こうした明記されていない解釈によるものだったということです。
以下のように散々確認したにも関わらずグレーなままなのも当然ですね。。。
事前調査をして論点を明確にした上で所轄税務署に対して改めて「なぜサクソバンク証券の外国株式オプションは申告分離課税なのか?」という実地の相談をして初めて明らかになりました。
ちなみに証券会社が扱う商品が市場デリバティブなのか外国市場デリバティブなのかといった判断は各証券会社の範疇であり、所轄税務署では個別の商品についてまで判断できないそうですが、本件についてはサクソバンク証券がNo.1522の市場デリバティブ取引に該当すると言っているのは先述のとおりです。
本件については国税の公式情報に記載がない論点で、金融商品取引法のデリバティブ取引の定義とNo.1522の情報だけでは判断できないため、税理士を使わない人はサクソバンク証券と所轄の税務署でそれぞれの見解を確認した方がよいでしょう。
なおサクソバンク証券の案内はちょっと不親切なんじゃないかと思うので公式情報として案内するよう要請していますが、国税の公式情報に記載がない論点故にアナウンスできないのかもしれませんね。
面倒がらずに楽しんでやろう
上記のような国税の公式に書かれていない解釈がなぜなのかという超スーパー細かい論点まで明らかにした上で所轄税務署に相談し、サクソバンク証券とは長々とQAセッションを続けなければならない状況は正直大いに疑問です。
外国株式オプションなどという普通の人はまず手を出さない初モノをやるんだから当然といえば当然かも知れませんが。
しかし私はこうした調べ物などはレクリエーションとして楽しく処理できるので、割とトクな性格かなーと思いました。
たぶんイノベーター理論で言うイノベーター、アーリーアダプター層ってこんな感じですよね。
今回もひとつ賢くなったと思います。
まとめ
サクソバンク証券の外国株式オプションで得たオプションプレミアムが申告分離課税である理由を紹介しました。
カバード・コールやキャッシュ・セキュアード・プットはインデックス投資との相性もいいので好奇心旺盛な方にオススメです。
なお繰り返しになりますが、私は税務についての相談には応じかねますので、お取引をお考えの方はご自身で税務署または税理士などの専門家、もしくは証券会社へご確認くださいますようお願いいたします。
【参考】米国株オプションを勉強したい人におすすめ、KAPPAさんの本
公式 サクソバンク証券