こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。
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この記事は次のような人にオススメです
- 過去に厚生年金基金に加入していた人
この記事の目的
過去の厚生年金基金の加入データについて企業年金連合会に確認したので紹介します。
以前勤めていた会社では企業年金として厚生年金基金制度があり私も加入していました。
その後会社を退職し、厚生年金基金から脱退一時金を受け取り、手元には「年金の引き継ぎのお知らせ」があります。
果たして私は企業年金連合会から年金を受け取れるのでしょうか?
厚生年金基金、中途退職者の脱退一時金と年金
過去に企業年金として厚生年金基金に加入していて、会社を中途退職した人は企業年金連合会から年金を受け取ることができます。
会社を中途退職した等の理由により、加入されていた企業年金を脱退し、加入期間分の年金の原資を企業年金連合会(平成17年10月前は「厚生年金基金連合会」)に移されている場合、将来、企業年金連合会から年金を受けられることになります。
企業年金連合会の年金記録を確認したいとき | 企業年金連合会
退職時に脱退一時金を受け取ったけど将来企業年金連合会から年金を受け取れるのかという点ですが、これについてはFAQがあります。
Q6 退職時に会社から脱退一時金を受け取っていますが、将来連合会から年金を受給できますか。
A6 厚生年金基金制度がある企業を退職された方
→ 受け取られた脱退一時金は、基本年金(A1参照)の上乗せ部分の加算年金という部分です。加算年金部分を、一時金として受け取っても、基本年金(A1参照)の部分は、連合会に引き継がれているので年金として受給することができます。
自分が該当するかわからない場合は上記URLから問い合わせることができます。
基礎年金番号さえわかれば確認できるので不明な人は照会するとよいでしょう。
本サービスは、「基礎年金番号、カナ氏名、生年月日」の3項目が完全一致した記録が連合会に存在するかどうかを確認するものです。
基本的に翌営業日にはメールにて記録の有無を回答してもらえます。
企業年金制度とは?
企業年金は日本の年金制度の「3階部分」と言われる、企業が従業員と給付の内容を約束する年金制度です。
1階部分が国民年金、2階部分が厚生年金ですね。
以下は現在の日本の年金制度の概略図です。
企業年金制度は勤務先が導入していれば加入できるし、導入していなければ入れない年金ですね。
厚生年金基金とは?
用語が似ているので混同しやすいですが、基本的な理解は以下のとおりです。
厚生年金基金は追加で上乗せしたい人が任意で加入する年金です。
厚生年金基金はかつては企業年金における主要な制度でした。
厚生年金基金制度は、国が行う老齢厚生年金の一部(報酬比例部分)の支給を代行し、これにプラスアルファ部分を上乗せして年金給付を行う仕組みです。
以下の図がわかりやすいです。
ちょっと長いですが以下が厚生年金基金の経緯で、いろいろあって現在は縮小されている制度です。
適格退職年金制度と並んでわが国の企業年金の大きな柱であったが、社会経済情勢の変動、とりわけバブル崩壊後の運用環境の悪化により厚生年金本体を代行するメリットが薄れる一方、確定給付企業年金と同様に将来の給付額を確定し、必要な掛金額を確保する、いわゆる確定給付型の年金制度であり、事業主が運用リスクを負うことから、退職給付にかかる企業会計基準の施行によりその債務が母体企業の債務として計上されるようになったため、平成14年の法律改正で代行部分の国への返上(確定給付企業年金への移行)が認められることになり、多くの厚生年金基金が確定給付企業年金へと移行した。さらに、平成24年のAIJ投資顧問事件を契機として、最終的に代行部分の給付責任を負う厚生年金保険の財政に影響を与える等の理由から法律改正が行われ、平成26年4月からは新規の設立は認められず、存続していた厚生年金基金についても存続の要件が厳しく設定され、その時点で存在していた多くの厚生年金基金は解散または代行返上により確定給付企業年金に移行した。
最盛期には基金数1,883(平成8年度末)、加入者数1,225万人(平成9年度末)であったが、現在は1.の図の状況となっている。
1.の図というのは最初の企業年金連合会の方の概略図のことで、これを見ると現在の加入者数は15万人なので最盛期の1.2%まで縮小しています。
企業年金連合会とは?
企業年金連合会は中途退職者の企業年金の運用をしています。
厚生年金基金や確定給付企業年金を退職等により脱退した人(中途脱退者)等の年金資産を引き受け、将来的な年金給付を一元的に行う年金通算事業を実施するとともに、中途脱退者の年金資産を転職先の企業年金制度や個人型DC(iDeCo)に移換するポータビリティ機能の役割を果たしています。
企業年金に加入してる人が会社を退職してしまったら企業年金も脱退しなければならないので、それまでの年金資産の移管先として企業年金連合会が存在しています。
退職時に厚生年金基金から企業年金連合会へ移管手続きをしていると、企業年金連合会から「年金の引き継ぎのお知らせ」が届きます。
今回私は「年金の引き継ぎのお知らせ」の確認のために企業年金連合会に対して、以前加入していた厚生年金基金の記録が引き継がれているかを照会して、「あります」という回答をもらったということです。
中途退職者は年金の受給漏れがあるかも?
基金代行部分の理解
先程の脱退一時金に関するFAQをもう一度詳しく見てみます。
A6 厚生年金基金制度がある企業を退職された方
→ 受け取られた脱退一時金は、基本年金(A1参照)の上乗せ部分の加算年金という部分です。加算年金部分を、一時金として受け取っても、基本年金(A1参照)の部分は、連合会に引き継がれているので年金として受給することができます。
基本年金については以下のとおりです。
厚生年金基金を中途脱退した人で当該厚生年金基金の規約に基づき、代行部分及び基本プラスアルファ部分の原資を企業年金連合会に移換した人に対して老齢厚生年金の支給開始年齢到達後に支給される。
代行部分とは以下のとおりです。
厚生年金基金が国に代わって給付する部分。
プラスアルファ部分については以下のとおりです。
厚生年金基金の給付=代行部分+プラスアルファ部分
=代行部分+基本プラスアルファ部分(薄皮部分+独自給付)+加算部分
つまり代行部分が企業年金連合会からの受給、プラスアルファ部分が脱退一時金ということになるようです。
これらを総合すると、企業年金の加入期間における基本年金と呼ばれる部分は国に代わって企業年金連合会から受給することになると読み取れます。
受給漏れが起きる可能性
「国から支給」の部分が減って、「基金等から支給」が加わっているということはつまり、企業年金連合会に年金資産を預けていることを忘れていると受給漏れが起きる可能性があるということでしょうか。
企業年金連合会が以下のようなページを用意しているところを見ると、受給漏れの可能性は否定できないようです。
あなたの企業年金、お忘れではありませんか? | 企業年金連合会
住所が変わってなければ受給開始年齢になったら企業年金連合会から書面でお知らせが届くようですが、転居して変更届けを出していなければ自分で気づいて申請しないと基金代行部分をもらい損ねるのかもしれません。
中途脱退者は注意しておいた方がよい
これらのことをまとめると、厚生年金基金の中途脱退者は脱退一時金が受け取れるメリットがある一方で以下のようなデメリットもありそうです。
退職時にプラスアルファ部分を脱退一時金ではなく年金として受け取る選択をした人にとっては企業年金連合会は意義があるでしょう。
しかし私のように脱退一時金を選択した人は、公的年金の一部が私的年金に代行されて自分の年金が煩雑になるだけで、企業年金連合会からも受給できる意義があまり見出だせません。
意義があるとすれば、厚生年金よりも企業年金連合会の方が利回りがよいケースですが、世界最大の年金基金であるGPIFと競争して勝つのは生半可ではない気がします。
先日Youtubeで59歳の方が自分のねんきん定期便を解説している動画を見たところ、その方も厚生年金基金の中途脱退者のようでした。
動画は全体的にわかりやすくまとまっていて好意的なコメントも多かったのですが、その方は厚生年金基金の認識が不足していたようで、視聴者から企業年金連合会へ問い合わせるようアドバイスされていました。
このように企業年金連合会が国に代わって代行する運用はわかりにくい上に受給漏れの可能性があるのだとしたら、代行部分は国に返上して厚生年金へ一本化して欲しいと思いました。
ねんきん定期便と厚生年金基金
ここまで厚生年金基金について見てきて、企業年金連合会が公的年金の一部を預かって運用していることがわかりました。
ところが毎年送られてくるねんきん定期便の年金見込額には厚生年金基金の分も含まれています。
したがって年金受給年齢になって年金事務所へ相談に行けば、それまでねんきん定期便だけを見て厚生年金基金の存在に気付かずにいても、自ずとその存在について知らされることとなると予想されます。
つまり厚生年金基金の受給漏れが起こるとすれば、年金事務所で年金相談をして手続を指示されたにもかかわらず忘れてしまった人ということになりそうです。
普通は大丈夫なのかな。
まとめ
退職により企業年金(厚生年金基金)を脱退して脱退一時金を受け取った場合の年金について紹介しました。
年金事務所へ相談に行けば受給漏れは起こらなそうですが、知識としては知っておいて損はないでしょう。