こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。
ここはどんなブログなの?
- お金、投資、資産運用、副業が中心のブログです。
この記事を書いたそーたろーはこんな人です。
- 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
- 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。
この記事は次のような人にオススメです
- 低リスクな投資系の副業に関心がある人
この記事の目的
サクソバンク証券の米国株式オプション取引でキャッシュ収入を得る副業を紹介します。
オプションの原資産は米国ETFのHYGを使い、取引手法としてはカバード・コールとCSPW(Cash Secured Put Writing)という、比較的少資金、低リスク、かつスキルを必要としない方法です。
あまり手間も掛からずインデックス投資との相性もよいので、条件がクリアできれば放置系の人にもおすすめです。
誰でも手軽に副業として始められる
メリット、デメリット
最初にメリット、デメリットをまとめておきます。
当然ながら良い面と悪い面がありますが、個人的な感想としてはメリットの方が上回ると思っています。
簡単でリスクは限定的、魅力的な利回り、なによりもインデックス投資と組み合わせてできるのは強烈な強みです。
オプション取引でお小遣い稼ぎ
考え方としては私の運用がベースとなっており以下のとおりです。
投資手法は別にインデックス投資でなくても構わなくて、要するにリスク資産以外で遊んでいるキャッシュを使って収入の柱を増やそう、といった主旨です。
どんな投資をしているにしろ、待機資金である程度キャッシュを確保するのは定石と思います。
インデックス投資では値動きの異なる資産クラスを組み合わせてポートフォリオのリスクを下げようといった考え方があります。
この運用方針を採用している人は国債系を保有していると思われますが、日本は30年近く超低金利なので私はキャッシュのままで代替という考え方をしています。
国債にしろキャッシュにしろ、超低金利下でキャッシュを運用して得られる利息は高が知れている、というかほぼゼロです。
そこであまりリスクが高くなく、かつ利回りも期待できる証券投資系の副業として、今回のHYGを使ったカバード・コール&CSPWが登場します。
カバード・コール&CSPWというオプション取引の手法自体はリスクの限定された安全なやり方ですが、原資産であるHYGはジャンク債ETFなので価格変動リスクがあります。
しかし国債系でも価格変動リスクはありますし、外債については為替リスクもありますから、そこは程度問題として各自の判断になります。
またオプション取引はデリバティブ商品というカテゴリーなのですが、これは投資なのか副業なのかという、わりとビミョーというかどうでもいい疑問もあろうかと思います。
そもそも副業という言葉には厳密な定義が存在しないので、ジョブ系のサイトを見るとお仕事系の副業が中心に紹介されていますし、副業系のサイトでは株・FX・不動産などが登場します。
民間企業の就業規則では副業禁止規定がありますが、株・FX・不動産といった資産運用系については規定に抵触しないことが一般的です。
といった感じで、カバード・コール&CSPWは比較的取り組みやすくキャッシュが手に入るということで、今回は資産運用というよりも副業感覚のお小遣い稼ぎという位置づけにしてみました。
米国株式オプションについて
米国株式オプションは2022年時点で国内主要ネット証券での取り扱いはなく、2020年からサクソバンク証券で日本人向けの取り扱いが開始されたばかりで、まだ最近のことです。
カバード・コール&CSPWとは何なのか、そもそもオプション取引とは何なのか、といった基本的なことについては今回の記事では詳しく触れませんので、理解が追いついていないという人は以下あたりをどうぞ。
その他のオプション取引に関する過去記事は以下のカテゴリーもどうぞ。
また書籍で勉強したいという人は以下のKAPPAさんの本がおすすめです。
【参考】米国株オプションを勉強したい人におすすめ、KAPPAさんの本
オプションはデリバティブ商品なので危ないと考えるかもしれませんが、米国では半数以上の個人投資家が株式オプションを利用しているといった統計もあります。
最近はネット証券の口座数が伸びて海外株式へ投資する日本人が増えていますが、米国人のように株式オプションまで手掛けられる環境が整っていなかったところへサクソバンク証券がサービスを開始しました。
少し勉強すると株式オプションは株式投資を手掛ける人にとってメリットがあることがわかってきます。
ETFやFXだって最初は取引する人は少なかったはずなので、米国株式オプションについてもトライしてみてはいかがでしょうか。
HYGカバード・コール&CSPWのやり方
ここからは具体的なやり方を紹介していきます。
といっても特別なことは何もなくて、要点としては以下の2点だけです。
※CCW:Coverd Call Writing、カバード・コールのこと
※CSPW:Cash Secured Put Writing、キャッシュ・セキュアード・プットのこと
期限1〜3か月程度のHYGのオプションを売るだけなので、わかる人からすれば「何だそれだけか」というものです。
やり方とともに何がよくて、どういった課題が解決できるのか、といったことを紹介します。
HYGを使ったCCW/CSPW
カバード・コールとキャッシュ・セキュアード・プットを交代で行うのはオプション取引で最初に覚える基本中の基本ということで、一連の流れについて知りたい方は以下をどうぞ。
簡単に説明すると、以下のような手順になります。
入り口Aで現物HYGの押し目買いをした場合は、分配金を受け取りながら株価が上がるのを待って、差益が取れそうになったら出口のCCWで義務を履行してポジションを手放します。
入り口Bでターゲット・バイイング(CSPW)した場合は、義務の履行でHYGを引き受けるまでCSPWを繰り返し、HYG入手後は入り口Aと同じく分配金を受け取りながらCCWを待ちます。
この手順をグルグルと繰り返すだけです。
カバード・コールとキャッシュ・セキュアード・プットは緩やかな株価上昇相場に適していて、相場の上下予想を的中させて収益にするわけではないので、入り口AとBどちらを選ぶかはザックリで構いません。
HYGは値動きが小さくレンジ内で推移する傾向があるので、株価チャートと相場観から安値圏と感じればAを、そうでなければBを、くらいでよいでしょう。
以下は直近10年のHYGの株価チャートですが、レンジ内の推移で真横に移動しています。
陰線で大きく下げたところで買えれば差益、分配金、プレミアムがコンボで取れるかもしれませんね。
権利行使価格については、原資産が株式インデックスの満期1ヶ月で5%OTMがポピュラーなので、HYGはその半分の2〜3%OTMくらいが目安かと思います。
ATMに近いとプレミアムは高いですが権利行使にあいやすいですし、離し過ぎるとプレミアムが安くて流動性もなくなりますのでそのときの状況に応じて微調整する部分でしょう。
カバード・コールとキャッシュ・セキュアード・プットのお手軽さをまとめると、
といった感じで簡単でリスクも低いのですが、これはレバレッジ1倍で資金効率が悪いことの裏返しです。
でもそこがインデックス投資の片手間で機械的にできてまた好都合といった感じです。
HYGとオプションについての補足
HYGはハイ・イールド債、いわゆる格付けの低いジャンク債のETFで、日本ではあまりメジャーではないかもしれません
またそのオプションを使った手法などマニアックで怪しいと感じるかもしれません。
ところがHYGは純資産総額21.39Bドルと十分な規模があり、そのオプションの取引量はETFカテゴリーでは毎日TOP10に入るほど流動性の高い人気のある取引対象です。
米国ETFのオプションで流動性が高いのはSPY、QQQ、IWMあたりが定番ですが、これらは株式なのでボラティリティの高さが課題になります。
オプション取引はボラティリティの取引なので、ボラティリティが高ければプレミアムも高く、低ければプレミアムも低いという特徴があります。
したがって原資産が株式のオプションは調子がよいときはたくさん儲かる一方で、マーケットが急落した際のダメージも大きくなります。
こうしたリスクへの対処法のひとつとしてカラー取引というプット買いを組み合わせる手法もあります。
今回使うHYGについては債券ETFなので、株式に比べれば値動きが小さいためシンプルにコールまたはプットを売ってお小遣い稼ぎに利用しよう、という単純な作戦です。
また米国株式オプションは1枚=100株なのでSPY、QQQ、IWMなどと比べてHYGは買いやすいという事情もあります。
- SPY:450ドル/株×100株×115円/ドル=517万円
- HYG:85ドル/株×100株×115円/ドル=98万円
それでも最低ロットが約100万円からなので、それなりの資金量が必要なためタイトルで「大人の副業」としてみました。
オプションの期限は1〜3か月
オプションの期限については特に制約はなく、好きな期限で取引して構いませんが、今回1〜3か月ものを使うのは以下のような理由です。
流動性
HYGに限らずオプション取引では流動性が重要です。
米国株式オプションは米国のデリバティブ取引の決済機関が設定したオプション(銘柄、期日、行使価格)の中から選ぶことになるので、以下のような縛りが生じます。
したがって自分にとって都合がよいオプションが取引できるとは限らず、常識的、というかある程度人気のあるオプションを選ぶことになります。
米国株式オプションでは毎月第3金曜のNYクローズ時間に満期を迎えるオプションの流動性が高いので、基本的にこの期限のオプションを使います。
取引き頻度
オプションは期限の短いオプションほど活発に取引が行われます。
流動性の観点からは期限の短いオプションを手掛けた方が取引がしやすく、かつ収益性も高くなります。
しかしこれを追求し出すと、毎週とか毎日売買することになり、儲かるけれど取引の手間が膨大になるという課題が発生します。
また米国株オプションはNY時間の取引なので日本時間22〜24時に注文を出す必要があり、夜が強い人にとっては関係のない話ではありますが、就寝時間が遅くなるという課題があります。
これらの課題を解消するために、あくまで私個人の計画としては1年を通じて以下のような予定で取引します。
以下のNY時間のオープン直後に注文することになるので、期限が2〜3ヶ月ものも混ぜることで時間の遅い冬時間の取引回数を減らしています。
夏時間は日本時間22時台なので許容範囲として基本的に期限1ヶ月のオプションを使い、10月の夏時間の終盤で期限3ヶ月のオプションを売ると、次の満期は1月なのでここでは期限2ヶ月のオプションを売ります。
これにより冬時間の取引が1月の1回で済むので、「NY冬時間の取引が億劫問題」が最小限に抑えられる、という作戦です。
冬時間は取引しないとか、もっと満期の長いオプションを売る(設定されていて、かつ流動性があればですが)とか、その人の生活スタイルに合わせていろいろアレンジ可能と思います。
収益性
オプション取引の具体的な利回りを数字で提示するのは多分無理なのですが、ある程度妥当と思われる目安としてカバード・コールETFのQYLDの分配金と比較して考えてみました。
QYLDはNASDAQ100指数でフル・カバード・コールして収益を分配金とするETFで、分配利回りが12%/年くらいあります。
オプションはボラティリティの取引なので、ボラティリティが高ければプレミアムが高いし、低ければプレミアムも低い、という原資産のリスクに応じてオプション価格が決まる仕組みになっています。
カバード・コールの収益は以下の3つ構成されていて、QYLDはこれらを足してコストを引いて年間で12%くらい分配金が出せるという商品です。
あくまで参考程度ですが、QYLDの原資産であるQQQとHYGの標準偏差(Standard Deviation)を比較すると、リスクは半分以下のようです。
つまりボラティリティの差からHYGカバード・コールの利回りは半分の5%/年くらいは期待できるのではないか、というのが私の見立てです。
また過去のプット売りでは満期1ヶ月で4,500円程度のプレミアムが取れているので、ここから推定利回りを出すと以下のとおりです。
- HYG:85ドル×100株×115円/ドル=98万円
- プレミアムの収益:4,500円×12回=5.4万円(税引前)
- 利回り:5.4万円÷98万円=5.5%
コールなのかプットなのか、分配金の有無、株価の差益、などの条件で変わりますが、ほぼ一致しそうです。
なおHYGは分配利回りが4.5%(税引き後3.2%)程度ありますが、分配金を取りながらプレミアムも取れればダブルで美味しいといったオメデタイことには多分ならず、コール売り場合のプレミアムは分配金がある程度調整されると思っています。
もちろんその時々の相場によってコール/プットの有利/不利は傾くので、おいしいオプションを売れるときはあると思いますが、コール売りが一方的に得する仕組みなら分配金がもらえない高分配銘柄のプット売りなんで誰も引き受けないですよね。
といった感じで、プットでもコールでも好きな方を売りつつ、現物を保有して売れるコールがなく塩漬けになってしまっても分配金が毎月ジャンジャン入ってくるのであまり気にならない、という点がHYGの利点ではないかと思います。
過去の取引実績
簡単に過去の取引実績を紹介します。
そんなにたくさんはなくて、まだまだ試行錯誤の途中といった感じなのでご参考まで。
取引日 | 種類 | ポジション | 数量 | 期間 | プレミアム | 分配金 | 譲渡損益 | 合計 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2020/09/29 | コール | 売り | 1枚 | 18日 | 3,758円 | 2,711円 | -3,167円 | 3,302円 |
2020/10/19 | プット | 売り | 1枚 | 33日 | 5,942円 | – | – | 5,942円 |
2020/11/23 | プット | 売り | 1枚 | 26日 | 6,279円 | – | – | 6,279円 |
2021/01/19 | プット | 売り | 1枚 | 31日 | 4,628円 | – | – | 4,628円 |
2021/02/22 | プット | 売り | 1枚 | 26日 | 3,642円 | – | – | 3,642円 |
2022/02/02 | プット | 売り | 1枚 | 45日 | 5,651円 | – | – | 5,651円 |
合計 | 29,444円 |
とはいえ6回で約3万円ですから、税引前で5,000円/月くらいは取れています。
先の取引計画では9回/年の予定なので、HYGオプション1枚(約100万円)で5万円/年くらい見積もれて、上手く行けば差益が取れる可能性も入れるとそれなりに魅力的ではないでしょうか。
表の5回目と6回目の間が約1年空いてますが、この間は例の「NY冬時間の取引が億劫問題」に嫌気が差して取引をサボっていました。
そしてこの経験から、先の夏時間に集中するやり方を編み出したという経緯になります。
2022年2月より月次報告を始めたのでよろしければどうぞ。
オプション取引の確定申告(サクソバンク証券版)
オプション取引はデリバティブ商品に分類され、オプション・プレミアムは雑所得として確定申告が必要です。
サクソバンク証券の米国株式オプションについては雑所得の申告分離課税20.315%であるとされ、分配金は配当所得、株式の差益は譲渡所得として申告します。
詳しくは以下の記事をどうぞ。
サクソバンク証券の場合は年間の取引報告書が使えるので確定申告のハードルは高くないはずです。
向く人、向かない人
HYGのカバード・コール/CSPWの向き・不向きを紹介します。
向いている人としては、現役で資産形成している人がコアのポートフォリオの補完として「塵も積もれば山となる」的な使い方がよいと思います。
リスクが苦手な人や、高いリスクを取る必要のないアガリ・FIRE系の人も向いているのではないでしょうか。
一方で向いていない人としては、儲けたくてがんばって一生懸命やらなくてはいけない人、リスクが少なすぎると感じる人でしょうか。
個人的な注意点としては、年齢が若い人は思考が柔軟なので興味を持つ人が多そうな一方で、資金量に乏しく、かつ十分な投資期間があるならカバード・コールよりもバイ・アンド・ホールドで複利で資産を増やす方にフォーカスした方がよいと考えています。
ただオプションは実際にやってみるとかなり勉強になるので、少資金でできる個別株を探すなどアレンジして、その人に合ったやり方を検討するとよいと思います。
まとめ
サクソバンク証券で米国ETFのHYGを使ったカバード・コール&CSPWによる副業を紹介しました。
万人向けではないかもしれませんが、無リスク資産を有効活用したい人は勉強してみてはいかがでしょうか。
公式 サクソバンク証券
【参考】米国株オプションを勉強したい人におすすめ、KAPPAさんの本