こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。
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- お金、投資、資産運用、副業が中心のブログです。
この記事を書いたそーたろーはこんな人です。
- 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
- 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。
この記事は次のような人にオススメです
- 一般NISAの円安対策に関心がある方
- 長期投資と外国為替の関係性に関心がある方
この記事の目的
2021年の年末に2022年の一般NISA枠を使ってVIGを上限いっぱいまで買いました。
このときのドル円レートは115円/ドル近辺と、かなりの円安が進行していて正直あまり買いたくありませんでした。
そこでなにか上手い対策はないだろうか、と考えたことを紹介します。
長期投資で円安対応は有効か?
長期投資と円安について個人的な考えをまとめると以下のとおりです。
このように為替変動の対応は難しいので過剰な対応は不要と考えていますが、個人的に効果があると考えている円安対策には以下のようなものがあります。
というわけで、私はETFを買うなら前もっていい感じのレートでドル転しておくのがよいと考えていますが、2022年の一般NISA枠ではそうした準備をしていませんでした。
そこでなにかできることはないだろうか、と検討した内容を以降で紹介します。
外国為替とインデックス投資については以下の記事もどうぞ。
一般NISAでの買い付け、円安だったらどうする?
今回は円安対策として以下を検討してみました。
結論から言うと、「こうすればいい」という万人におすすめの対策というのはなく、いずれの方法も準備不足が発端の悪あがきといった感じです。
今回いろいろ検討はしたものの、2022年分は当初の予定どおり年初一括投資しました。
投資しない
一般NISAで投資しないという策は取れません。
特定口座などであれば任意のタイミングで好きに投資すればよいのですが、NISAの場合は一度口座開設したら毎年新しい勘定(投資枠)が自動的に新設され、任意の年だけ新規投資を保留するということはできないためです。
正確には新しい勘定ができても投資をしないことは可能ですが、勘定は投資資金が投入されようがされまいが関係なく消費されるので、資金を投下しなければ投資枠を使わずに捨てるのと同じことです。
したがってNISA口座を開設したら毎年すべて使い切るのが基本です。
NISA口座での投資を止めたい場合はNISA口座の資産をすべて売却するか、特定口座へ払い出してNISA口座の解約手続きをすることになります。
投資した過去のNISA口座の運用を続けながら、まだ使っていない任意の勘定を使わないで先送りすることはできないのです。
海外資産以外を買う
国内資産(株、債券、J-REITなど)
為替が円安で不利なら国内資産を買うのは検討に値するかもしれません。
私は一通り検討しましたが、今回は以下のような理由で却下しています。
日本株はTOPIX1306、国内投信、VEAなどで保有していますが、一般NISA枠を丸々使って投資したいとは思いませんでした。
国債系はもともと資産クラスの分散を採用していないので、こちらも一般NISA枠を使って国内債券ファンドを買うという選択はナシですね。
また仮に分散投資をしていても、非課税口座は運用益に対する課税が免除されていることがメリットなので、私はリターンが低い国債系で使うのはもったいないと考えています。
ちなみに確定拠出年金(iDeCoなど)は拠出資金が所得控除の対象なので、定期預金や国債系ファンドを使って投資枠を埋めるだけでも節税メリットが受けられます。
J-REITは価格が高いこともあって、タイミング的にあまり興味がわきませんでした。
コモディティ(金など)
NISA口座で買うことができるのは金、銀、プラチナなどのETFでしょうか。
貴金属はメインの資産クラスになりにくく、以下のようなデメリットの方を強く感じます。
今のところ資産クラスの分散でコモディティを取り入れる計画もなく、私はこの資産クラスに対して消極的です。
金価格が安ければ考えなくもありませんが、米ドルと金は逆相関の傾向が強いものの、2022年は世界的なインフレで金価格も高止まりの印象で食指が動きませんでした。
海外資産を買う
ドル建て以外の資産を買う
日本語で円安と言えばほぼ自動的に円安ドル高のことを指します。
しかし外国為替は常に通貨ペアで考えるので、円安ドル高だからといってドル以外の通貨も対円で高くなっているとは限りません。
香港ETFや中国株、楽天証券、SBI証券では東南アジア株などもNISAで取引できるので、これらの外国通貨建て資産を検討してもよいかもしれません。
ドル建ての資産を買う
一般NISAで年初一括で海外ETFを買う
今回はいろいろ検討はしてみたものの、事前の計画どおり年初一括投資としました。
長期投資の場合、円安の年もあれば円高の年もあり、長い目で見れば為替レートも均されるので気にしなくていいだろう、というのはインデックス投資では普通の考え方かと思います。
私はドル円はこの先ももっとよいレートで調達できる機会があるはずだと思っているので2022年の円高は悩ましいわけですが、私に残された時間枠では今がもっとも円高という可能性だってないわけではありません。
一般NISAで年初一括投資をしない
これは簡単に思い付く施策ですが、NISAの勘定は1年単位なのでこの先1年で円高に振れるという強い確信があればアリだと思います。
そうでなければ闇雲に時間分散するだけで、うまく行ったとしても結果論で大した意味がないと思っています。
時間分散すると部分的にでもNISAの非課税期間を捨てることになるので年初一括投資に軍配が上がると思います。
なお2017年までは主要ネット証券の海外ETFの買付手数料は25ドル/注文というのが一般的だったので、できるだけまとめて買うのが定石でしたが、現在は0.45%(上限20ドル)なので分割して買っても損にはなりません。
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また銘柄は限定されますが、買付手数料無料のETFを活用してもよいでしょう。
区分変更でつみたてNISAにしてしのぐ
NISAとつみたてNISAは毎年どちらかを選択できるので、円安が続く間はつみたてNISAにして資金拠出を抑え(40万円)、円高に向いてきたら一般NISAにする(120万円)という対策が取れます。
10/1〜12/31の間に申し込めば翌年の勘定を区分変更で切り替えることができます。
ただし為替をにらみながら区分変更しても株価の値動きはまた別なので、株価が大きく上がってしまえば機会損失になります。
また私のように残された投資期間が短い人にとってつみたてNISAは機会損失が大きく不向きですが、逆に投資期間が長い若い人は一般NISAを使い切れる投資資金がないケースが多いと思われ、上手く機能させられる人は多くないイメージです。
為替ヘッジ
為替ヘッジとは、買い持ちしている海外資産に対する為替の影響をゼロにするか、または為替が差損になったときの保険を掛けます。
具体的には米ドル建て資産を買い持ちしている場合は円高に振れると為替差損が発生するので、円高時に為替差益が発生する何かを手当します。
ただし為替ヘッジはヘッジコストが発生します。
ヘッジコストは2国間の金利差(インフレ率の差)を目安と考えるようで、日米だと1.5〜2.0%/年くらいでしょうか。
投資対象が株式であれば年率期待リターン約5%とヘッジコストが相殺されるので、3%くらいはリターンが残ると考えてみました。
為替ヘッジありの投信
通常、長期投資では為替ヘッジを付けないのが一般的で、その理由は私の理解では以下のとおりです。
つまり為替ヘッジは円の下落に対する手当なのですが、長期投資の場合は放っておいても為替は勝手に円高に向かう傾向があるのでコストをかけてやる意味が薄いと考えられます。
なので販売されている海外資産へ投資するインデックスファンドのほとんどは為替ヘッジが付いていません。
ただしスポット的に為替ヘッジありの外国株ファンドが買いたいというニーズは少しはあるらしく、以下のような商品もありますが純資産総額は大きくないですね。
たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり> | 楽天証券
為替ヘッジありの国内ETF
国内ETFでは為替ヘッジありのETFが結構あります。
純資産総額はやはり大きくありませんが、S&P500、NASDAQ100、米国債、その他外債など全部で20本くらいあるので興味がある方は物色するといいかもしれません。
ヘッジコストを考えると外債はリターンがなくなってしまい厳しいのかなという印象です。
最終的に買わないことにしましたが、今回候補として最後まで検討したのがS&P500の為替ヘッジありの国内ETFでした。
自分で為替ヘッジする
ドル建て資産を買ったあとに自分で為替ヘッジを付ける対応を考えてみました。
- 為替予約
私の理解では、為替予約は以下のような目的で用いるものと考えています。
したがって継続保有する株式ファンド、ETFのヘッジとしては為替予約はちょっと違うのかなという印象です。
為替予約はどこの金融機関でもできるわけではなく、私が調べた限りでは三菱UFJ銀行が個人の外貨預金で対応しているようでした。
しかし米ドルの外貨預金を買っても円高のヘッジにならないどころか為替リスクを更に増やすだけで無意味ですね。
- 通貨先物(FX)
通貨先物(FX)はネット証券やFX専業会社で口座開設するだけで個人が簡単に利用できます。
ヘッジの方法としてはドル円をショート(売り)するだけです。
円高になると米国株の買い持ちは為替差損が出ますが、ドル円のショートポジションの方で為替差益が乗るので損益が固定されます。
FXの取引手数料は安いですが、スワップ金利の支払いが実質的なヘッジコストとして発生します。
ヘッジポジションはフルヘッジしなくても半分とかの部分ヘッジにするなども簡単にできそうですね。
ただしヘッジポジションは両建てなので、株式の方がバイ・アンド・ホールド(無期限)とすると、ヘッジの解消をどう考えるのかという問題もあるでしょうか。
円高で利食うと利益部分に雑所得20.315%の税金が発生し、利食ってしまえばそれ以降の円高に対するヘッジもなくなります。
一方でヘッジを掛け続けるとスワップ金利の支払いが延々と続きますが、原資産(株式の方)のリターンでカバーできるのだから放置でOKと考えることもできます。
しかし株価が急落すると株式の含み損とスワップ金利の二重苦が待っている気が・・・。
- 通貨オプション
通貨オプションは文字通りオプションなので保険の役割として使えるかもしれません。
私は米ドル資産を買い持ちしており、ドル円レートの下落(円高)がリスクなのでプット買い(プロテクティブ・プット)ができればよいことになります。
通貨オプションは国内ではサクソバンク証券が取り扱っていて、私はアカウントは持っていますが通貨オプションの口座を開設していないのでどの程度のことができるのかは未確認です。
またお手製で適切な為替ヘッジを掛けるのが難しそうという課題もあります。
例えば日米インフレ率の差を2%、期間3年で考えると、
値幅は7円で通貨先物10,000通貨単位で考えると7万円の差益ですが、このオプションのプレミアムがいくらなのか、そもそも希望する期限やストライクプライスが設定されているのか、コストとリターンはどうか、といったことをいろいろ検討する必要があります。
通貨オプションというニッチな商品を使ってバイ・アンド・ホールドに対して期間限定でお手製為替ヘッジを付けることの判断が難しいです。
まとめ
円安時に一般NISAで買い付けする場合の対応策を紹介しました。
やろうと思えばやれることはあるものの、どれも一長一短で決め手に欠けますかね。
長期投資家は円高を虎視眈々と狙い撃ちするのがベストではないでしょうか。