こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。

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この記事を書いたそーたろーはこんな人です。
- 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
- 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。

この記事は次のような人にオススメです
- インデックス投資のリスク管理に関心がある人
この記事の目的
インデックス投資におけるリスク許容度の考え方を紹介します。
リスク許容度の考え方として一般的な「リスク資産と無リスク資産の割合」については以下の記事で紹介しています。

今回はそこから派生して、リスク資産を元本とリターンに分けてリスク許容度を考えてはどうか、という意見を紹介します。
最初に結論
話が長いので最初に大まかな結論を書いておきますので、興味のある方は以降を読んでいただければと思います。
今回言いたいこととしては「運用期間が伸びて含み益が乗ってきたらリスク資産の割合の重要度は下がるのでは?」といった主旨です。
一般的なインデックス投資のリスク管理の考え方は、最初にリスク資産と無リスク資産の割合(資産ポートフォリオの構成)を決めて比率が変わってきたらリバランスで元に戻しましょう、といったものです。
しかし長期投資で運用期間が長くなると複利の効果によって資産の伸びが爆発的に加速するので、保有資産に占める利益の割合が増え、同時に元本の割合が下がります。
こうして含み益が乗ってくると相場下落時のバッファが大きくなって元本割れしにくくなるので、必ずしもリスク資産と無リスク資産の割合によるリスク管理にこだわる必要はないのではないでしょうか。
ある程度続けて含み益がしっかり乗っている人は、始めたばかりで含み益がない人と同じリスク管理のやり方をしなくてもよいのでは、という考え方を紹介します。
一般的なリスク許容度の考え方
最初に私が考える一般的なリスク許容度の考え方を整理します。
ポートフォリオ | 保有金融資産 | リスク資産:無リスク資産 |
---|---|---|
A | 500万円 | 50:50 |
B | 1,000万円 | 50:50 |
C | 5,000万円 | 60:40 |
リスク許容度はAとBでは同じ、AとCまたはBとCではCのリスクが高いと考えるのが一般的だと考えています。
理由はポートフォリオの大小によらず全体に占めるリスク資産の割合でリスク許容度を判断するため、ポートフォリオAとBのリスク資産は50%でポートフォリオCは60%だからです。
ただ現実問題としてAのリスク資産50%は250万円、Bのリスク資産が50%で500万円が同じリスクかと言えばそうではないかもしれません。
ポートフォリオBはAの2倍の大きさで動く金額も2倍なので、絶対額の大きさと感じ方の問題もあると思います。
しかしポートフォリオの大きさや感じ方は人それぞれで、これらを考慮すると物事の比較ができないので、ここではリスク資産の割合だけがリスク許容度を決める要素ということにしています。
ところがこうしたリスク資産の割合だけでリスク許容度を測ってリバランスを行う運用は合理的ではないのでは、というのが私の考えです。
リスク資産の割合で測ることの不都合
私がリスク資産と無リスク資産の割合だけでリスク許容度を測るのは合理的ではないと考える理由は以下のようなものです。
順番に説明します。
乖離しやすくなる問題
長期投資でバイ・アンド・ホールド作戦をやっていると時間が経過するに連れて資産の増え方が加速します。
みなさんこの遠い将来の複利の効果を期待して、がんばって日々の上げ下げに耐えていることと思います。
ところがこの長く運用して増え方が大きくなる現象とリスク資産と無リスク資産の割合を一定に保つ運用は相反します。
以下は金融庁のつみたて投資シミュレーションの例です。
金額、利回り、期間はいくらで設定しても構いませんが、グラフが右に行くほど黄色の運用益が大きくなります。
話の前提として今はリスク資産の増え方の話をしているので、グラフの棒はすべてリスク資産とします。
そうするとリスク資産と無リスク資産の割合を一定に保つ運用を行っている場合、グラフの棒全体に応じた無リスク資産を別途確保していくことになります。
つまりグラフの右側へ行くに従って確保しなくてはならない無リスク資産も大きくなり、しかもその増え方は指数関数的な加速です。
一方の無リスク資産は複利で増える性質のものではないので、放っておくとリスク資産との差がどんどん広がっていきます。
こうした差の広がりをリスクの取りすぎと考えて、当初決めた割合を維持しようとするのが分散投資におけるリスク管理の考え方かと思います。
このやり方でバランスを取るにはリスク資産を途中売却するか給与所得(貯蓄)を増やすといった対応が必要です。
しかしお給料は増やそうと思って増やせるものではないので、教科書的にはリスク資産を途中売却することになると思いますが、私はこのやり方には反対です、というのが次の説明です。
なおノーセルリバランスで対応できる範囲であればこの問題の対象にはなりません。
リスク資産の増加にブレーキを掛けてしまう問題
リスク許容度を守るためのリバランスというと聞こえはいいですが、見方を変えれば単なる早すぎる利食いです。
個人の資産運用においては一般的に原資が給与所得なので働いて収入を得られる期間が限られるし、運用者の寿命も有限なので、自ずと運用期間が限定されます。
先程のグラフの右の方の20〜30年目は伸びが大きいわけで、みんなここを目指したいのではないでしょうか。
それなのにその手前でちょこちょこ利食っていては終盤の伸びを緩やかにしてしまいます。
これからも価値が上がると見込んでいるからつみたて投資で新規の資金拠出をするのに、せっかく増え始めた資産を途中で売って、今後も利益を生まない無リスク資産に変えて税金まで払うのは非効率ではないか、というのが私の考えです。
NISAが口座内でリバランスできない問題
つみたてNISA、一般NISAは口座内でリバランス(スイッチング)ができません。
相場が平和な時期は割合の変化も少ないため、新規買付の内容を変えるいわゆるノーセルリバランスで対応できるかもしれません。
しかしリスク資産が急激に増えすぎた場合は、NISAの運用期間を待たずに売却することも検討しなければならないかもしれません。
「最初に決めた割合を守りなさい、年に1回はリバランスしなさい」というアドバイスに従って非課税期間の終了を待たずに途中売却するのは普通に考えてもったいないですよね。
含み益と元本を分ける考え方
続いては含み益を考慮したリスク許容度の考え方を整理します。
ポートフォリオ | 保有金融資産 | リスク資産:無リスク資産 | リスク資産に占める 含み益 |
全体に占める 元本の割合 |
---|---|---|---|---|
C | 3,000万円 | 50:50 | 10% | 45% |
D | 3,000万円 | 50:50 | 30% | 35% |
E | 3,000万円 | 50:50 | 50% | 25% |
今度は保有金融資産の大きさとリスク資産:無リスク資産の割合が同じで、含み益の大きさが違うパターンの比較です。
例えばCの場合では以下のような考え方です。
- 含み益の大きさ:3,000万円×50%×10%=150万円
- 元本の大きさ:3,000万円×50%ー150万円=1,350万円
- 全体に占める元本の割合:1,350万円÷3,000万円=45%
こちらの比較では含み益が増えれば全体に占める元本の割合が下がる、というごく当たり前のことを言っています。
そしてインデックス投資においてこのような差が生じる主な理由は運用期間の長さです。
つまり運用期間が長くなって含み益が大きくなるほど元本割れしにくくなることも考慮した方がよいのではないかと考えています。
資産形成期のリスク許容度
ここまでの考え方をまとめると以下のような感じでしょうか。
このことを受けて、私は資産形成期においては以下のような方針がよいのではないかと考えています。
リバランスについては以下のように考えています。
対象 | 一般的な考え方 | そーたろーの考え方 |
---|---|---|
リスク資産の内部バランス調整 | 必要 | 必要(ただし売却はしない) |
無リスク資産との外部バランス調整 | 必要 | 不要 |
金融資産全体に占めるリスク資産の割合は目安として持っておいてよいが、リスク資産のうち大体何%が利益なのかも加味してリスクの取り方を変えるという考え方です。
含み益があれば途中の下落は乗り越えやすくなるので、現役時代はしっかりアクセルを踏んで資産を大きく増やすことにフォーカスすべきではないか、というのが私の考えです。
違った表現をすれば、含み益は利益をさらに伸ばすためのクラッシュ時のバッファ(緩衝)といった考え方になるでしょうか。
考慮すべき点
とはいえ、完全放置でリスク資産は一切売却するなとは考えておらず、いくつか注意点もあると思うので紹介します。
利食い千人力
投資格言「利食い千人力」は欲張らずに利益確定することの重要さを言っています。
今回の話は最終的には程度問題であり、「やっぱりそれではリスク資産が大きすぎるから現金に変えておこう」という判断はあって当然です。
含み益だろうが元本だろうが相場クラッシュが直撃すれば評価額は何十%もしぼむことに変わりありません。
でも多くの場合、例えば以下のような人にとってリスク資産の割合を見ながら年に1度のこまめなリバランスが必要かと問われれば、私は不要だと感じます。
年齢や今後の運用期間次第ですが、これからも資金拠出を続けられるならリバランスと称した利益確定はせず、できるだけ資産を増やす努力をするのが賢明だと感じます。
残り時間
含み益が大きくなるためにはそれなりの時間経過が必要で、それは同時に運用できる残り時間も減っていることを意味しています。
大きな含み益は元本割れに対するバッファになるのでより高いリスクを取り得ますが、リタイアが間近に迫っているとか取り崩しの時期が迫っているなど、資産運用の終盤フェーズが見えている場合も想定されます。
例えば会社員の人が含み益が大きくなってきたからといって、収入が途絶える定年退職間近で新たに追加のリスクを取り始めるのは得策ではないかもしれません。
経済的に余裕のある人であればリタイアが迫っても取り崩しはまだ先だから早めにリスクを取っておこう、という考えができるかもしれません。
このあたりは個人の置かれた状況によって様々なので各自で検討でしょうか。
守りのためのリアロケーション
リアロケーションとは何でしょうか?
私は年に1度といった頻度の高いリバランスはしなくていいと考えていますが、10年単位くらいのリアロケーションはやるべきかなと感じています。
最初のポートフォリオの定義の話で、保有金融資産の大小に依らず、比率が同じならリスク許容度は同じと考えるが、変動する額の大きさは保有金融資産の大小で変わる、と述べました。
リアロケーションが必要と考える理由は、時間経過によってポートフォリオの大きさが変化した際にリスクの取り方が適切かどうかを保有金融資産の大小で考えるためです。
500万円のポートフォリオを持っていた人が、数十年後に3,000万、5,000万と成長した際に、そのときにどれくらい利益を持っているかに応じてリスクの取り方を再検討するようなイメージで、リバランスとはまた違う視点になろうかと思っています。
そーたろーの場合
私は現在インデックス投資15年目で今まで大体リスク資産:無リスク資産=50:50でやってきました。

しかし今回説明したような経緯により、通常運用でこれ以上この割合をキープするのは無理だ(リスク資産が50%を超える)と感じています。
私の場合は10年そこそこでリスク資産の半分が含み益という状態になっていて、資金拠出できる期間もまだかなり残っています。
特に根拠なく決めたしきい値50:50を超えるからと言って利食いするのは気乗りしないし、今のところ新規の資金拠出を停止するつもりもありません。
そこで「含み益があれば割合はそれほど気にしなくてもいいかな」ということで今回紹介したような考え方に至っています。
現時点では以下のような目安で考えています。
相場クラッシュで株価指数-50%という大暴落が直撃すると、保有金融資産の25〜30%が消滅するけど元本は割れるか割れないか、というラインでしょうか。
リアロケーションの観点では、現役時代とリタイア後でリスク資産の比率は大きく変えてよいのではないかと感じます。
前回記事で取り上げた「100-年齢=株式の保有比率」に近い考えで、私の場合は現役時代はできるだけ株式の比率を高く維持し、リタイア後は下げるという考え方で以下のようなイメージを持っています。
これも個人の感覚であって特に根拠はありません、なんとなくです。
万人向けではないかも?
今回紹介した話は万人におすすめできるかと言えばそうではないと思っています。
まず含み益が大きい状態というのは普通にインデックス投資をやっていても実現は難しいかもしれません。
つみたて投資のシミュレーションでは期待リターン5%で+100%(2倍)にするには25年かかります。
前回記事で紹介した標準偏差の例(期待リターン5%、年率リスク20%)の2σ(最大下落率-35%)に耐えられるのが18年目くらいです。
私の場合は、株式ファンドのみの運用としたり、リーマンショックや円戦後最高値などで積極的に逆張りを活用するなど、かなり攻撃的、かつ裁量的な資金投下を行ってきました。
このあたりは相場のことなので運の要素や上手下手も多分に関係すると思われ、そういう事柄と関わりたくないからインデックス投資でまったり放置したい、という人は教科書どおりの運用が向いていると思います。
また追加投資については、含み益を理由により高いリスクを取ろうというピラミッディングのような考え方なので、一般的なインデックス投資の考え方にそぐわないと思います。
しかし私はインデックス投資と言えどリスクを取った投資には変わりなく、やるからにはより多くのリターンを求めたいので、その人なりの工夫も必要かなと考えています。
私のインデックス運用がベースの話なので、ここまで記事を書いてあまり役に立たないかなーとも思いましたが、まー私はそういう運用をしていますという紹介記事でした。
まとめ
インデックス投資におけるリスク許容度の考え方を紹介しました。
その結果として、残りの投資期間が十分でクラッシュをやり過ごせるだけの含み益があるなら、より高いリスクを取ってもよいのではないか、という個人的な考え方でした。
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