こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。
ここはどんなブログなの?
- お金、投資、資産運用、副業が中心のブログです。
この記事を書いたそーたろーはこんな人です。
- 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
- 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。
この記事は次のような人にオススメです
- 実家を相続して賃貸に出すことに関心がある方
- 不動産所得の確定申告のやり方に不安がある方
この記事の目的
実家をリフォームして賃貸に出した際の確定申告について紹介します。
あくまでも私が調べた範囲での参考情報程度ですので、詳しくは税務署、税理士などにご確認くださいますようお願いいたします。
私のサラリーマン大家計画については以下をどうぞ。
会社員の給与所得と不動産所得の損益通算
基本的なこととして副業で利益が出たら確定申告が必要ですが、不動産所得の場合は仮に赤字になっても他の所得との損益通算が可能です。
私の例では、2020年は家賃収入は4.5万円ほどで、貸し出すためのリフォーム費用などで180万円ほど掛かっており、不動産所得は赤字です。
この不動産所得の赤字を給与所得と合算することで課税所得が下がることになるので、今回の私の場合では還付を受けることができます。
不動産投資が節税になると言われるのはこのような理由からですね。
勤務先は赤字決算による節税を察知できる
会社員は源泉徴収で所得が確定し、その所得に対して次年度の住民税を会社が通知してきます。
したがって課税所得が減って住民税が減ると不動産所得の存在について会社が知ることになります。
私の勤務先の就業規則にも副業禁止規定があるので「不動産所得が副業禁止規定に抵触するのか問題」が発生します。
もし会社からそうしたおたずねがあった場合は「 親の不動産を相続し、赤字で申告したため 」とだけ答えることにしています。
法的には本業に支障が出るような副業でなければ、会社は就業規則を根拠に社員を罰することはできないそうなので、まぁ問題ないでしょう。
ただし罰せられなくても何らかの面倒事を抱えることになるかもしれません。
しかし政府・厚労省は以下のような方針を打ち出しており、私はサラリーマン大家については特に問題ないだろうと考えています。
3 企業の対応
(1) 基本的な考え方
裁判例を踏まえれば、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当である。
以下の記事ではこうした住民税の変化について、会社から送られてくる特別徴収税額決定通知書の実例で紹介しています。
不動産所得の確定申告に備えてやっておくこと
不動産所得で確定申告するためには期中から準備しておく必要があります。
白色申告と青色申告の選択
白色申告と青色申告の違いは以下のとおりです。
青色申告は特典がありますが、利用したい場合はその年の3月15日までに税務署に書類を提出して承認を受けておく必要があります。
私は2020年分は白色申告を選択していますが、2021年分から青色申告にします。
小規模大家の青色申告については以下の記事にまとめたのでよろしければどうぞ。
領収書の保管、帳簿をつける
確定申告をする場合には白色申告でも青色申告でも帳簿付けが必要です。
事業で生じる収入と支出を把握できるようにしておく必要があります。
また経費などの支払いはすべて領収書を保管しておきます。
年が明けたら付けた帳簿をもとに収入と支出を集計して損益を確定させて確定申告書類が作成できるようにします。
白色申告と青色申告では求められる帳簿の程度が違うのでそれぞれの要件を満たす帳簿付けをします。
今回私は白色申告なので簡易式の帳簿を作成しました。
申告手段の選択
確定申告は電子申請であるe-Taxを使うか否かあらかじめ決めておきましょう。
e-Taxによる確定申告はマイナンバーカードなどが必要なので、直前になってからでは間に合いません。
e-Taxはデメリットも多いので私は紙で印刷して提出しました。
年々改善されているようですが、システムトラブルなどを理由に紙で提出する人も少なくない印象です。
リフォーム費用の確定申告と減価償却費の計算方法
不動産所得の確定申告書を作成するための以下のポイントを紹介します。
帳簿を勘定科目で集計する
不動産投資で発生する主だった勘定科目は以下のようなものがあります。
これらを勘定科目ごとに集計して金額を算出します。
確定申告ソフトを使っている場合はソフトがやってくれます。
今回私は白色申告なので表計算ソフトで帳簿付けして自分で集計しました。
不動産所得は確定申告書B
申告書類は国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成できます。
確定申告書にはAとBがあって、それぞれ以下の所得に対応しています。
不動産所得の申告は確定申告書Bを使います。
【重要】収支内訳書(不動産用)の作成
不動産所得の確定申告では「収支内訳書(不動産用)」という不動産事業の収支がわかる書類を作成する必要があります。
収支内訳書(不動産用)を作るために以下の点について紹介します。
修繕費と資本的支出
不動産賃貸業にかかる物件のリフォーム費用で明確にしなければならないのは修繕費と資本的支出についてで、以下のような考え方をします。
つまりリフォーム費用は一括で修繕費として費用計上することはできず、工事の内容に応じて経費なのか資産価値向上なのかを分ける必要があります。
一般的には住居の相続なら100%資本的支出
しかし修繕費と資本的支出に分けたとしても、相続で新たに不動産賃貸業を始める場合は物件のリフォーム費用を修繕費として計上できないようです。
理由としては、元々住居であった建物を相続で事業用に転用している場合は修繕が維持管理や原状回復に該当せず、すべての費用を資産価値の向上目的であるとみなすためです。
したがって基本的な考え方としては、相続物件のリフォーム費用は100%資本的支出にして減価償却するのがお作法らしいですね。
ところがこの考え方をベースに税務署の見解を聞いたところ、基本的にはそのとおりだが3割を修繕費、7割を資本的支出としてよい、というお墨付きをいただきました。
細かなことはわかりませんが、ケース・バイ・ケースでいろいろな判断があるようです。
築22年超の木造建物を相続&リフォームした場合の減価償却費
減価償却費を計上するために金額と償却期間を決定します。
減価償却費の償却期間の確認
減価償却とは固定資産を会計年度にわけて毎年少しずつ経費化する考え方です。
ではどのくらい時間を掛けて償却するのかということで減価償却費の償却期間を確認します。
減価償却費の償却期間は固定資産の法定耐用年数として決められています。
今回はリフォーム費用を固定資産化して減価償却するのですが、単純にリフォーム工事の内容だけを見て固定資産としての判断をするわけではありません。
住宅リフォーム工事の場合は本体建物の付随工事の扱いになるため、建物の法定耐用年数を基準に考えることになっています。
今回の木造建物の場合は22年が法定耐用年数です。
耐用年数(建物/建物附属設備) | 令和2年分確定申告書等作成コーナーよくある質問
そしてさらに建物の利用目的が住居から賃貸に変わる場合は以下に該当し、×1.5で33年となるようです。
No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却 |国税庁
私の実家は築36年ですので、いずれの法定耐用年数も経過しています。
法定耐用年数を経過した築古住宅の減価償却期間
次に法定耐用年数を経過した固定資産の償却期間を確認します。
法定耐用年数を経過した築古住宅の減価償却期間は以下のように決められています。
(1) 法定耐用年数の全部を経過した資産
その法定耐用年数の20%に相当する年数
私の場合は以下のいずれかに該当すると思われますが、
税務署で「4年で償却して構わない」というお墨付きをいただきました。
というわけで今回のリフォーム工事の減価償却期間は4年としました。
法定耐用年数を経過しても残価はゼロではない
私の場合は築古の実家でローンなどもないため建物の価値としては償却済みと考えていましたが、どうやらそうではないようです。
建物の取得価額×5%を未償却残高に含めるようアドバイスされました。
これは相続によって所有権が移転し、相続人である私は概算取得費を計上できるルールがあるらしいです。
売った土地建物が先祖伝来のものであるとか、買い入れた時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、売った金額の5%相当額を取得費とすることができます。
私としてはもともと建物の価値はゼロだと考えていたので、タダで償却資産(経費)が増えたことになってラッキーでした。
「減価償却費の計算の明細書」の作成
ここまでで相続した実家+リフォーム費用の減価償却費と償却期間がわかりました。
減価償却費を計上するためには「減価償却費の計算の明細書」というものを作成する必要があります。
減価償却費は一括で計上できず、前年から資産価値を引き継いで時間をかけて償却して行くためこのような明細書を使って管理して行く必要があります。
相続では被相続人の取得日、取得価額を引き継ぐ
相続では被相続人から相続人に資産を引き継ぐので、物件の取得日、取得価額もそのまま引き継ぐことになります。
今回「減価償却費の計算の明細書」の項目については税務署員の方に教えてもらった以下のような考え方をしました。
今回のやり方では「ロ:償却の基礎になる金額」の算出がポイントです。
「ロ:償却の基礎になる金額」は先に述べたとおり、リフォーム費用のうち資本的支出だけでなく建物の取得費(または概算取得費)も計上します。
建物の取得費は売買契約書から土地と建物の明細が分かる場合はそちらから建物の価格を取得し、減価償却後の残価を求めます。
私の場合は売買契約書から購入金額はわかったのですが建物の価格まではわかりませんでしたので、以下の資料にある「建物の標準的な建築価額表」を使って算出するように言われました。
取得年月日に対応した単価を使って以下のように計算します。
なおこれら一連の「減価償却費の計算の明細書」の作成について、当初私は確定申告書作成コーナーから償却期間を4年とするやり方がわからず、金額だけを入れて自分で作った計算書を添付する方式としました。
しかし耐用年数を4年にすることで作成コーナーで対応できるとのことでした。
以上のような手順で「減価償却費の計算の明細書」を完成させて、今回計上する減価償却費が確定します。
損害保険料は期間按分する
不動産賃貸業の損害保険料としては主に以下の保険が該当するでしょうか。
私の場合は保険期間5年で加入していますので会計年度ごとに月数按分して計上します。
このあたりは以下のような損益計算書原則というのを知っているとよいかもしれませんね。
以前勉強してなんとなく覚えていましたが、今回書類を作っていて思い出しました。
また地震保険は給与所得の控除ではなく、不動産所得の損害保険料として計上します。
その他雑費
修繕費、減価償却費、租税公課、損害保険料以外の費用についてはまとめてその他雑費として計上して「収支内訳書(不動産用)」は完成です。
【参考】日商簿記3級はおすすめ
今回私は白色申告なので直接的に複式簿記の知識が必要だったわけではありません。
しかし不動産投資の確定申告で一連の不明点を調べるのに簿記・会計をかじっているとそれなりにラクだなーと感じました。
というわけで日商簿記3級については万人におすすめです。
またビミョーな資格としてビジネス会計3級をあげていますが、今回のようなことを調べたりするのに初心者の会計知識習得としておすすめしておきます。
まとめ
今回は築古の実家を相続し、リフォームして賃貸に出したケースの確定申告について紹介しました。
収支内訳書と減価償却費はケース・バイ・ケースと思うので不明点は専門家に確認するとして、小規模大家の場合は自力でも対応可能と思いました。
私は次回から青色申告に切り替えるので、不明点は順番に潰して行きたいと思います。