私は新NISAよりもiDeCo/選択制企業型DCを優先するよ

iDeCo・確定拠出年金(DC)
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こんにちは。『お金に困らない生活(インデックス投資ブログ)』管理人のそーたろー(@sotarowassyoi)です。

 

2024年からの新NISA仕切り直しを受けて、iDeCoや選択制企業型DCの優先度について紹介します。

 

そーたろー
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  • お金、投資、資産運用、副業が中心のブログです。

 

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この記事を書いたそーたろーはこんな人です。

  • 2008年から国内・海外ETF、つみたてNISA、iDeCoなどでインデックス投資をしています。
  • 2020年より米国株オプション、サラリーマン大家、副業ブログを実験中です。

 

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この記事は次のような人にオススメです

  • 新NISAとiDeCoどちらを優先すべきか考えている人

 

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この記事の目的

新NISAとiDeCo/選択制企業型DCの優先度について紹介します。

2024年から仕切り直される新NISAは抜本的拡充が決まってインデックス投資界隈は沸いています。

新NISAに全力投資だという声もありますが、私はiDeCo/選択制企業型DCを優先で行こうと思っています。

 

iDeCo/選択制企業型DCを優先する理由

DC(確定拠出年金)については種類がいろいろありますが、今回の話の条件は以下のとおりです。

  • iDeCoまたは選択制企業型DC、もしくは両者の併用
  • DCの受け取りは一時金を選択
  • 退職金なし

優先する理由としては、iDeCo/選択制企業型DCは自分で掛け金を拠出して、さらにDCを一時金で受け取ると退職金扱いで税金が発生するデメリットがあるけど、ほとんどの場合で節税メリットの方が上回るからです。

所得控除による節税メリットはDCだけの特典で、しかも一時金に対する課税は退職所得控除で優遇されるため、新NISAよりiDeCo/選択制企業型DCを優先した方が得するケースが多そうだと考えています。

また以下のような条件が関わってくる人は話が大きく変わってくる可能性があります。

  • 自動加入型の企業型DCやマッチング拠出
  • DCの受け取りは年金を選択
  • 退職金あり

DCは複雑な制度で人によって事情も様々、あくまでそーたろーの場合ということをお断りしておきます。

 

NISAとDC(確定拠出年金)について

NISAとDCは別制度で、以下のような目的の違いがあります。

  • NISA(金融庁):資産形成
  • DC(厚生労働省):年金

似た部分も多い両者ですがそもそも別の制度なので、異なる部分(得手不得手)をきちんと押さえた上で優先順位を考える必要がありますね。

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2024年からの新NISA

仕切り直しとなった2024年から始まる新NISAの主なポイントは以下のとおりです。

  • NISA制度が恒久化
  • 非課税期間が無期限に拡充
  • 非課税枠合計1,800万円(360万円/年間)まで投資可能
  • 利用枠の簿価管理
  • 現行NISAとは別枠

現行NISAの悪い部分がすべて払しょくされて、使い勝手のよい制度に生まれ変わります。

これを受けてあちこちから「全力で非課税枠1,800万円を埋めろ」という情報が上がっていますね。

 

iDeCo/選択制企業型DCのメリット/デメリット

DCはいくつかの種類がありますが、企業型DCなどは社員が自動的に加入することになるので、全体として見れば個人の選択によるバリエーションはそれほど多くない印象です。

そのなかでiDeCo/選択制企業型DCについては自動的に加入しない個人がやる/やらないを決めることになるので、NISAとどちらを優先すべきかという選択が発生します。

iDeCo/選択制企業型DC、および代表的な証券口座のメリット/デメリットをまとめると以下のとおりです。

非課税口座 特定口座
確定拠出年金
NISA/
つみたて
NISA
ロボアド
インデックス
投資
個人型
(iDeCo)
企業型
(選択制DC)
リターン 運用利回り 4〜6%/年
コスト
ファンドコスト 0.1〜0.3%/年程度
利用手数料 あり なし 1%/年程度
特別法人税 (1.173%/年)
メリット
所得控除 あり
売却益への課税 なし あり
退職所得控除/
公的年金等控除
あり
スイッチング 可能
自己破産 差押の対象外 差押の対象
年金分割
(財産分与)
対象外 対象
標準報酬月額ダウン
(社保料圧縮)
なし あり なし
デメリット
途中売却 可能
受け取り時の課税 あり なし あり
標準報酬月額ダウン
(厚生年金減、
社保縮小)
なし あり なし

まず利用手数料については加入時に3,000円ほど、毎月171円ほどありますが、金額が小さいのでここでは無視します。

続いて標準報酬月額ダウン(黄色)ですが、この部分はトレードオフの関係(メリットにもデメリットにもなる)で、選択制企業型DCの評価を複雑にしている部分です。

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ここでは社会保険料の圧縮メリットは厚生年金の減額デメリットと相殺とし、また社会保障の縮小デメリットは全員が必ず使うものではなく定量的な評価ができないため両者ともひとまず無視します。

緑色部分はDC固有の特徴でiDeCoと選択制企業型DCでは差がありませんが、NISAとの比較においてはどちらかというとメリットが上回るのではないでしょうか。

こんな感じで考えて行くと、残りの部分は控除(メリット)と税金(デメリット)の綱引きになるので、果たしてこの点でDCは損なのか得なのかという疑問が残ります。

全体感として見た場合、メリットの節税(所得税、住民税、退職所得控除)の方が強ければDCが有利だし、デメリットの受け取り時の税金の方が強い場合は他の特典との兼ね合いで損得はケース・バイ・ケース、といった感じでしょうか。

 

DC(確定拠出年金)の受け取り

DCの節税メリットと税金によるデメリットを比べるにあたって、基本的なルールをおさらいします。

DC(確定拠出年金)を受け取る方法4つ

確定拠出年金の受け取り方には以下の4種類があります。

  • 老齢給付金:基本的な老齢年金としての受け取り
    • 一時金(退職所得):一括で受け取る
    • 年金(雑所得):年金として少しずつ受け取る
    • 一時金と年金の組み合わせ:一時金と年金にわけて受け取る
  • 障害給付金:障害を有する場合の受け取り
  • 死亡一時金:加入者が死亡した場合に親族等が受け取り
  • 脱退一時金:一定条件を満たして確定拠出を脱退した場合

今回は老齢給付金の受け取りに絞って見ることにします。

 

老齢給付金の受け取り

DCを老齢給付金として受け取る場合、一時金、年金、一時金と年金の組み合わせの3タイプがあります。

一時金(退職所得)

一時金はDC資産をまとめて受け取る方式です。

一時金を選択すると以下のようなメリットがあり、一般的には年金(雑所得)として受け取るより有利になると理解されているようです。

  • 課税方式が分離課税
  • 退職所得控除の対象となる
分離課税

退職所得は分離課税なので、他の所得と切り離されて単独で課税される点がメリットです。

所得税は累進課税(所得が大きいほど税率が上がる)なので、分離課税であれば退職所得だけに限定して税率が決まる(他に所得があっても影響しない)ため税率が低くなりやすいでしょう。

退職所得控除

退職所得の課税では退職所得控除という大きな特典があり、さらに1/2という特典が付きます。

  • 課税所得=(DC一時金ー退職得所得控除)×1/2
  • 住民税=所得税額×10%
  • 復興特別所得税=所得税額×2.1%

つまり退職得所得控除額が大きいほど納める税金が少なくなるというわけです。

退職所得控除額は加入年数に応じて以下のように求めます。

  • 20年未満:40万円×勤続(加入)年数
  • 20年超:70万円×(勤続(加入)年数ー20年)+800万円

退職得所得控除は退職金+DC一時金の合算なので、退職金がある人は受け取り方に複雑なバリエーションが発生しますが、今回は退職金なしに限定したケースなので、DC一時金に対してのみ退職得所得控除が適用されます。

退職得所得控除は加入期間が長いほど大きくなる点がポイントです。

 

年金(雑所得)

DCに限らず年金にも税金が発生します。

公的年金は雑所得として扱われ公的年金控除が受けられますが、どれくらいの課税が発生するかは年齢や所得によって様々ですので、詳細が必要な人は国税庁のサイトで確認しましょう。

一例としては所得1,000万円以下、65歳以上のケースでは公的年金控除110万円、基礎控除48万円で合計158万円までは非課税ですが、それを超えると雑所得として課税されます。

DCを年金で受け取る場合のメリット/デメリットは以下のとおりです。

メリット

  • 運用指図者になるので運用が継続できる

デメリット

  • 雑所得は総合課税なので、所得が増えるほど税金も高くなる(累進課税)
  • 年金(所得)が増えると健康保険料や医療費の自己負担割合が増える
  • 運用指図者になるので管理手数料が発生する

今回の退職金がないケースにおいてはDCは退職所得控除を、それ以外の年金は公的年金控除を受けるのが合理的かなと理解しています。

 

組み合わせ

一時金で受け取るお金は一時金に係る税制、年金で受け取るお金は年金に係る税制がそれぞれ適用されるハイブリッド方式です。

調べてはみましたが、組み合わせてもらう意義がなんなのかはよくわかりませんでした。

例えば年金がその人の非課税枠(先の例では158万円)より少ない場合にこれを超えない範囲を年金でもらって、残りを一時金とすればそれぞれの控除を最大に受けられる、とかでしょうか?

 

DC加入者とは

DCの受け取り方と退職所得控除額の計算がわかったところで、加入年数の決まり方を押さえておく必要があります。

DCには以下の区分があります。

  • 加入者
  • 運用指図者

退職所得控除額を決める際に用いる加入年数は加入者として資金拠出をしている期間を指します。

運用指図者は年金資産は持っているけど資金拠出をしていない状態なので加入年数としてカウントされません。

また運用指図者は誰でも自由になれるわけではなく、特に企業型DCでは一定の要件を満たさないとなることができません(確定拠出年金法第15条第1項)。

 

DCの所得控除パワーは強力

iDeCo/選択制企業型DCが大体同じとはいえ、実際の運用は加入者次第でいろいろなケースが想定されるのでいくつかのモデルケースを想定して紹介します。

モデルケースで紹介

A B C D
DC種 iDeCo 選択制企業型DC
加入期間 20年の場合
退職所得控除 800万円
掛け金 2.3万円/月の場合 5.5万円/月の場合
運用商品 定期預金 株式ファンド 定期預金 株式ファンド
期待リターン 約0%/年 約5%/年 約0%/年 約5%/年
所得税率(所得控除) 5%の場合 20%の場合
住民税率 10%
復興所得税額 2.10%
元本 552万円 1,320万円
節税額 82.8万円 396万円
20年後の想定資産 552万円 945万円 1,320万円 2,260万円
課税所得 0円 72.5万円 260万円 730万円
納税額 0円 10.9万円 42.5万円 179.4万円
想定受け取り額 552万円 934.1万円 1,277.5万円 2,080.6万円
損益合計 82.8万円 464.9万円 353.5万円 1156.6万円
  • 節税額=掛け金×月数×年数×(所得税率+住民税率)
  • 課税所得=(掛け金合計ー退職所得控除)×1/2
  • 納税額は以下の合計
    • 所得税額=課税所得×所得税率ー所得税控除額
    • 復興所得税額=所得税額×2.1%
    • 住民税額=所得税額×10%

今回紹介するケースでは、いずれのケースも節税額>納税額となり、メリット(赤アンダーラインマーカー)がデメリット(青アンダーラインマーカー)を上回っています。

 

Case A

iDeCoで2.3万円/月を拠出し、定期預金で20年運用、所得税率5%で収入がそれほど多くないケースという想定です。

所得税は累進課税なので、税率はその人の所得によって5〜45%のいずれかが適用され、今回はたまたま最低税率5%を例にしているだけなのでお間違えなく。

定期預金なので運用益はなく、20年後の想定資産552万円(元本)が退職所得控除800万円の範囲なので税金も発生しません。

552万円拠出して552万円受け取り(正確には定期預金の金利や毎月の手数料があるが)ではやる意味ないじゃん、と思ったらそれは間違いです。

DCの最大の特徴は「掛け金が所得控除の対象になること」なので、20年間の節税額82.8万円の分おトクです。

 

Case B

同じくiDeCoですが株式ファンドで運用するケースです。

運用益が乗ってくるので20年後の想定資産は945万円で、退職所得控除800万円を超えるため納税額10.9万円となります。

一時金受け取りで税金が発生するのでDCは損だからNISAにすべき、とならないのはCase Aと同じで、納税額10.9万円を超える節税額82.8万円を得ている分おトクです。

 

Case C

選択制企業型DCで5.5万円/月を拠出し、定期預金で20年運用、所得税率20%の会社員という想定です。

Case Aと違うのは掛け金が5.5万円/月と大きくなり、元本だけで1,320万円と退職所得控除800万円を超えるため納税額42.5万円となりました。

しかしCase Aと同様に20年間の節税額396万円という強力な特典を得ているので、一時金で元本を手にするために税金を払うという一見理不尽に見える結果も、実はトータルでは353.5万円もトクしていることになります。

 

Case D

選択制企業型DCを株式ファンドで運用して、運用益が乗るケースです。

納税額179.4万円に目が行きがちですが、Case C同様に節税額396万円が得られるのでヘッチャラではないでしょうか。

 

損するケースもあるけど

どのようなケースで試算しても所得控除のメリットが大きいのがDCの特徴です。

株式ファンドなどマーケットの変動の影響を受けるタイプの商品では相場によっては元本割れのケースもあり得ますが、所得控除による節税効果というバッファを考慮してトータルで考えるとNISAよりも有利でしょう。

ただ損失になるケースもないわけではなく、例えばCase Dで節税額396万円を超えて元本割れした場合などは課税が発生してしまいます。

  • 資産額:1,320ー396=924万円
  • 課税所得:(924ー800)×1/2=62万円
  • 納税額:(62×0.05ー0)×1.021+62×0.1=9.3万円

20年運用して-30%と相当悪いケースで、元本割れしてるのに9.3万円も税金を取られてまさに泣きっ面に蜂って感じです。

こういうときは運用指図者で塩漬けして相場の回復を待つ、という選択肢も視野に入れておくべきかもしれませんね。

 

DCの試算は変数が多い

今回の試算は、任意型のDCで年金資産の受け取りを一時金とした場合に得られる節税額と支払う納税額をいくつかのケースを想定して損得を論じています。

長々とここまで読んでいただいた方はおわかりかもしれませんが、DCの損得は非常にたくさんの変数(表の黄色部分)を設定して考えなければなりません。

DCのタイプ、加入期間、利回り、掛け金、所得税率、、、とあらゆる変数をすべて洗い出して、かつ得たい結果にフォーカスするために可能な限り枝葉を落とす必要があります。

私自身、NISAとDCどちらが優先かイマイチ判断が付きにくかったのでこの記事を作りましたが、調べてみて大多数の普通の人が独力でこれを判断することはほとんど無理なのではないかと感じました。

 

余裕があるならNISAよりDCが優先

このようにDCは所得控除が付き、かつ一時金で受け取るケースでは退職所得控除が付く点がNISAより有利であると考えられます。

新NISAは制度が恒久化、無期限化などのメリットもあり、またDCは途中解約ができない、加入手続きが面倒などのデメリットもあります。

選択は個人の状況で変わる可能性はありますが、資産運用の合理性という点でNISAよりDCの方がオイシイのではないかというのが私の意見です。

ある程度余裕資金があってデメリットを許容できるならDCを優先した方が得する可能性が高そうです。

 

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まとめ

新NISAとiDeCo/選択制企業型DCの優先度について紹介しました。

DCは所得控除が付き、かつ一時金で受け取るケースでは退職所得控除が付く点がNISAより有利だ

DCは複雑な制度なので自身のケースで見積もってみることは大切だと感じました。

 

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